はじめに

本頁は、2018年1月時点におけるIT生涯学習Tech筆者桑原が「AIエンジニア」になるためにはどうするべきかという持論と 将来の世代にAIエンジニアになるための一つの羅針盤になれば幸いです。

AlphaGoZeroの衝撃

私が、偽物AIやなんちゃってAI(データとアルゴリズムの世界)から真のAIだなと確信したのは、
2017年10月18日にGoogle子会社であるDeepMind社から発表した以下の記事を目にした時です。

私は、現在40歳代中々の中年ですが、小学校4年生から囲碁を継続したお蔭もあって囲碁の棋譜を感じる事ができます。
それと同時に22歳社会人になって、ICT業界で何かしらのプログラム(主はJava)を継続して行っていたり、 物事を論理的に捉える努力はしてきたと思っています。

DeepMind社の「AlphaGoZero」を最初に知ったのは、2015年10月05日にFan Hui棋士(中国プロ二段)に対して5勝0敗で圧勝した時です。
この時期の私自身の感じ方は、「チェスや将棋は座標空間が少ないし、囲碁よりアルゴリズムにするのは簡単だから、AIが囲碁の世界で、 世界一のプロを倒すのは後20年は掛かるだろう」です。日本囲碁界のプロ棋士が書いた当時のSNSもほぼ同様の感覚だったと記憶しています。 「強くなったけど世界一のトッププレイヤーを倒すのは無理だな」と。 このときのAlphaGoのコードネームは対戦相手の名を付けて今では「AlphaGo Fan」と呼びます。

それから少しの月数を経て、当時実質世界一の実績を持つ韓国の天才棋士「李世乭(イ・セドル)」との対戦が
2016年3月9日~2016年3月15日の期間にかけて公式戦(賞金1000万円、5局)で行われました。
対局前の周囲の反応は、世界の実績No.1プレイヤーだから李世乭さんが全勝するだろうという見解が多かったと思います。
2016年3月9日第1局、世界の囲碁プレイヤー及びAIエンジニアそして自分が見守る中、
人が考えもつかない発想で打ち出された着手は、見守っていた世界プロの囲碁棋士に衝撃が走りました。
李世乭(イ・セドル)棋士がAIとの初対戦という事で、AIを試すような工夫を試みていた所がありましたが、
内容は「AlphaGo」の適切な応対と飛躍した構想力、的確な読み、形勢判断などを見せつけられました。
第1局目世界実績No.1の棋士がAIに敗北した瞬間です。

このときに世界中の棋士が騒めき立ったことを今でも覚えています。
2局目、3局目と李世乭棋士が負けた時には、今まではAIまだまだ論がほのかにありましたが、
3連敗した時点で本当にAIが囲碁の分野で人間を超えたという衝撃が囲碁界及び世界に波及しました。

5回対局なので、既に3連敗した時点で総合的な勝敗は決まっていたのですが、
4局目に「李世乭(イ・セドル)」棋士が世界実績No.1の実力をAIに魅せます。
AIも世界棋士達も気付かない強手を炸裂し、その後の対応も押し切り成長過程のAIに初めて勝った点が世界実績No.1の実力は流石です。
この囲碁の内容が面白かったのが、AIが自身の形勢が不利になると暴走した手を打ち出すようになりました。
これは、通常の手順では既に負けがAIから導きだされているため、最善手順を尽くしたら負けるという概算の元、
本来では打たない手を模索した感じです。
このときのAlphaGoのコードネームは対戦相手の名を付けて今では「AlphaGo Lee」と呼びます。

この5局の対局後、人間が唯一残された希望は、囲碁世界ラインキング一位の中国天才棋士である「柯潔(カ・ケツ)」九段を残すのみとなりました。 2017年5月23日~2017年5月27日の期間にかけて、実質世界一の囲碁棋士柯潔九段とAlphaGoの対局が行われました。 結果は、AlphaGoからみて3連勝でした。「AlphaGo Lee」の衝撃から凡そ1年間、柯潔棋士のプロ棋士としての成長もあったはずですが、 AlphaGoは更に進化して、圧倒的な強さを人に魅せつけました。勝負が均衡又はAIが負けている時に起きる暴走(無理手や損な手を打つ行為)が無くなり、 囲碁の死活に関係する読み、即ち座標空間における認識力はさらに高まり、つけ入る隙を与えません。 人が上手いと思っていた手順もAlphaGoの圧倒的な読みでは、バランスが取れているもしくはAIの方が得している。 DeepMind社AlphaGoが囲碁AIの頂点に達した瞬間です。 このときのAlphaGoのコードネームは囲碁を完全にマスターしたという意味でしょう「AlphaGo Master」と呼びます。

2017年5月28日DeepMind社は、AlphaGoの引退を表明しました。
世界の研究者が認めている最もAI化が難しいボードゲームである囲碁(IGO)のAI化に成功したからに他ありません。
それから少しの歳月を得た2017年10月18日にAlphaGoの開発を辞めたと思われていたDeepMind社からとんでもない報告が上がります。
さきに記載した「AlphaGo Zero:Learning from scratch 」です。

この記事に挙げられた衝撃の内容は、先の「AlphaGo Master」までのAlphaGoは、トッププロの棋譜(囲碁の終局までの手順)をビックデータとして 機械学習の元データとしてきましたが、「AlphaGo Zero」は、人間の棋譜を一切与えず、囲碁の「ルールのみ」だけの自己対戦のみでビックデータを形成し、 そのデータを元に最善手を求める手法に切り替えました。(強化学習と呼びます。)

この強化学習から生み出された棋譜は多くの囲碁棋士に衝撃を与えました。人が読みの中から排他していた手順、定石などを新しく作り出し、 布石(囲碁の最初の骨格を決める手順)などにも新しい価値観を与えるものでした。更に興味深いのが、AIが人類が長い歴史の中で生み出した定石、布石などを 肯定している事もある点です。

私は、周囲の人がどのように過去のAI歴を定めようともこの日が人類にとって「AI歴元年元日」だと思っています。

それから少し経た、2017年12月5日DeepMind社はAlphaGoZero汎化させたAIエンジンとして捉えて 囲碁だけにあらず、将棋、チェスまでもルールだけで強化学習させたAIエンジンAlphaZeroが世界一という証明をした。

世界一のAIは「AlphaZero」

2018年2月初旬時点及び当分(半世紀近く以上)AIの分野研究でのトップランナーはDeepMind社研究員及び
Google社員の一部が世界一のAIエンジンを製造した「AI研究者(サイエンティスト)」であり、
「AlphaZero」は現時点で世界一のAIエンジンであることは間違いありません。

なぜならば、何十年昔からAI研究者の多くが、ボードゲームの中で一番盤上が広く、
変化が多く、ルールが難しく、アルゴリズム化することが厳しく「囲碁」はAI化でき難いとされていました。
それを世界の天才が集う「DeepMind」社及び「Google」社が有言実行したのです。

私が、DeepMind社のAlphaZeroが世界一と言い切る理由は以下の通りです。

  • 囲碁はルールが変わらないゲーム
  • 囲碁のプロ棋士の棋譜のビックデータは取得可能
  • 可変要素としては、1局の対局時における対局時間
  • 最低100局打てば、どちらのAIが強いかはっきりする。

囲碁は、AIエンジンを開発するAI研究者にとってAIの技術力を試すにはもってこいの条件です。
日本では囲碁のため、AIのために日々「AlphaZero」を超える事を目指している「DeepZenGo」です。
中国では、「絶芸」を囲碁AIとして開発しています。両囲碁AIともに2018年1月時点でトッププロを倒す域まで到達しています。
では、他のグローバル企業、AIベンチャー企業などは何故チャレンジしないのでしょうか?
答えは簡単で同じ土俵では何年かけても「AlphaZero」を倒せない又は並ぶことができないからです。
100局して100敗したらどうでしょう。市場ではやはり「DeepMind」世界一であり、挑戦者は2番手以降と印象図けられます。
ファジーな要素によってぶれずにAIの強さ・弱さで必ずAIの優越がつけられるのが囲碁AIなのです。

世界規模のグローバル企業もそんなリスクの高い土俵には上がれません。
不可逆的ですが、この囲碁という1つのボードゲームに乗り込んで来なかったという時点で 既にあらゆる分野におけるAIエンジン世界一はDeepMind社(AlphaZero)です。

日本では多少光があります。「ZeepZenGo」チームです。
当初は、加藤英樹さんと尾島陽児さんがコツコツ囲碁AI大会に参加してました。
ここ最近では、日本棋院、ドワンゴ株式会社、東京大学 松尾 豊教授などの多くの支援を頂き、
日本和製囲碁AI「ZeepZenGo」の研究を継続しています。

AI研究者は既に次世代へ

2018年2月初旬時点、私は、AIに携わりお仕事を仮説ですが残りの40年程度の生涯したいです。
透析患者なので志半ばで尽きるかもしれませんが。
ここで、本読者にお伝えしたいのですが、オリジナルのAIエンジンを製造する「AI研究者(サイエンティスト)」には、 私も現在20歳以上の方々は既に慣れません。一部の天才的な脳と経験の持ち主がこれから血のにじむ努力をしても 追いつけません。少し近づけたかなというぐらいまででしょう。

お分かりですよね。世界の「AI研究者」は10歳過ぎたから神童とよばれるような天才が、
学生時代から優秀なマサチューセッツ工科大学などで学に励み、AI研究を最低20年近く、
レベルの高い教育機関で、天才的な生徒と共に高い次元で教育されていた訳ですから、
その人達は更に大学院などにもきちんとAIに関連した専門性の高い分野を勉強し、更に
その後は、DeepMind社のようなAIにエッジが効いた企業での活動を本日まで続けています。
そう、彼らには既に私達の世代では追い越せない域に彼らはいるのです。

彼らは、日々その世界一の頭脳集団で日々AIエンジンの向上、手法の研究、業種への適用を 次元の高い日常研究生活の中で切磋琢磨してます。
既にハンデがある人がAIエンジンの領域においてAI研究者になると思う事は、 ご自身と彼らの実力を適切に理解していないのです。

囲碁やスポーツの世界でもその先行した勉強者の違いは顕著になります。
2018年で日本囲碁界でタイトルを獲り井山祐太さんを倒せるには、何歳から囲碁を初めてプロになれるのでしょうか?
[回答1]夢は実現する頁の 井山祐太さんの凡そのプロセス図をみて下さい。

井山祐太さんは、5歳で囲碁を初めてから囲碁のTVゲームで熱中し、13歳(中学1年生)でプロ入りしています。
私は18歳時に多くのプロの先生に言われたことを今でも鮮明に覚えています。
「タイトルを獲る棋士というのは、本人が囲碁のプロになれるか、なりたいのかという自立心が芽生えたことろには、
 既にプロに入段しており、その過程では行き詰まりが無いごくわずかの天才が努力し続けてやっとタイトルを獲れるトッププロになれる。」
囲碁の世界では、4、5歳から囲碁を開始して1~3年でマアチュア六段クラス、更に3年前後でプロ初段クラスになる必要があります。
先の何歳からという答えは、「4、5歳」です。
これは、AI研究者にも言えることです。既に現在の世界のAIエンジンを開発しているAI研究者はトッププロで幼い頃から、
他人よりAI領域を数十年近く日々の密度の高い努力と勉強されている方々です。

現在活躍されている世界及び日本のAI研究者に対して、独自のAIエンジンを作れるAI研究員なるという話を20歳以上の方がいうのは少し烏滸がましいといえます。

もし、AIエンジンを設計、製造できるAI研究員になりたい20歳以上の方は、どうすべきか?
答えは簡単です。私達の世代でできるだけ1つでも多くの事を理解して、次世代に託すことです。
もしくは貴方がなれなくてもお子様に託すことはできます。

AI領域ではDeepMindが世界一

AI領域で2018年世界一の集団といえば、私はDeepMind社又はそれを子会社化したGoogle社と言い切ります。
理由は簡単で、世界一アルゴリズム化、AI化が難しいという囲碁を2年程度の歳月で実現させたからです。
他のグローバル企業が自社のAIエンジンがDeepMindのAlphaZeroより優れているという事を証明するには、
「ルールが不変で奥が深い囲碁」(同一の土俵)でAlphaZeroより勝率の高いAIを作ればよいのです。
ただし、これは一部の団体を除き全員チャレンジしていません。理由は明確です、チャレンジでAlphaZeroを倒す確率と 負ける若しくは相手にならない確率を理解しているからです。誰も負ける確率が高いものに自社がグローバル社会で AI2番手下手するとそれ以下のレッテルを張られるリスクがあるから同じ土俵で争わないのです。

私は、DeepMind社の大活躍を子供が何か宝物をみつけたように感動しました。
それと同時に大変複雑な心境を受けました。DeepMind社に問い合わせたわけではございませんが、
AlphaZeroに関する論文に日本人らしい名前が1名も記載されていないのですね。
ということは、AI領域における世界のトップランナー群に日本人がまだ到達していない事を意味しています。
アジア人では中国人が1名論文に名前が掲載されていました。

AIアドバイザーにはなれる

AIアドバイザーの図

AIアドバイザーとは、正式な職種ではありません。私が予測している業種の1つです。
AIサイエンティストは、DeepMindを筆頭に研究所などでAIに特化し、優れたAIエンジンの開発を行う研究員を意味します。
AIアドバイザーは、AIエンジンそのものを製造することはしません。作るなという事ではなく時間と総合的なスキルと経験が無いという意味です。
AIアドバイザーは、AIサイエンティストが普及しようとしているAIエンジンを理解し、サンプルと作り、業種への適用を計ろうとする職種です。
AIエンジン側は、オリジナル性が出せなくてもその提供されたインターフェイスの各種動作原理と得意・不得意を理解します。
そして、そのAIエンジンに対する理解と特定の業種の理解も行い、業種へのAI適用をアドバイスできる職種となります。

長くなりましたが、貴方が20歳以上で既にAIサイエンティストを目指せなくてもAIアドバイザーは、貴方の努力で十分なリ得る事を理解して下さい。
私はGoogleCloudやtensorflow、「DeepLearning」の論文などをベースにサンプルを作っていければと思います。

1人でも多くの方がAI業界へ足を踏み込み20年後の今では思いもつかないAI時代を共に構築しましょう。